FXの恐怖、強制ロスカット

FXのリスクは為替レートの変動による損失ということは言うまでもありませんが、恐ろしいのは「強制的にロスカットされる」ことです。この強制ロスカットだけは絶対に避けなければなりません。といいながら私は強制ロスカットにより一瞬にして70万円を失った経験があります。

ロスカットとは、含み損をもったまま決済をすることを言いますが、「強制ロスカット」は自分が預けている資金がマイナスにならないよう、評価額がある「しきい値」を超えた段階で、システムが強制的に決済します。この仕組みは、ほとんどすべてのFX会社に導入されています。

ではその「しきい値」とは何でしょうか。それは一般的には「証拠金維持率」と呼ばれ、現在の評価額に対する必要証拠金の割合となります。つまり、現在の評価額に対してどのくらいの余裕が口座にあるかという値で、「証拠金維持率30%で強制ロスカット」という場合、この余裕が30%を割り込んだ時点でポジションを強制的に決済しされてしまうのです。

例で考えてみます。

100万円入金した口座があるとします。レバレッジはかけず、1米ドル100円で5000ドル買った場合、口座全体の評価額は、「ポジション評価額50万円( 5000米ドル)」+「残高50万円」となります。このとき、

証拠金維持率 = 評価総額(100万円)÷ 必要証拠金(50万円) × 100 = 200%

となります。この時点では200%の余裕があるということですね。強制ロスカットが発動する証拠金維持率を30%に設定している場合、まだまだ余裕がありそうに見えます。

ではこの米ドルが98円になったとします。ポジションの評価額は49万円となり、

証拠金維持率 = 評価総額(99万円)÷ 必要証拠金(50万円) × 100 = 198%

となります。 米ドルが1円上がっても、この場合の証拠金維持率は2%しか変わりません。しかし、実際にFXをする場合、50万円を使って5000ドルの取引などしないですよね。普通は、50万円を使って12万5000ドルくらいの運用をします(レバレッジ25倍の場合)。

こうなると、先ほどと同じように1ドル100円で買った12万5000ドルが、1ドル98円になった場合、2円×12万5000=25万円の含み損となり、ポジションの評価額は25万円となってしまいます。この場合の証拠金維持率は、

証拠金維持率 = 評価総額(75万円)÷ 必要証拠金(50万円) × 100 = 150%

となります。さらに1ドル96円になった場合、含み損は50万円となり、

証拠金維持率 = 評価総額(50万円)÷ 必要証拠金(50万円) × 100 = 100%

となります。通常、証拠金維持率が100%を切ると追加のポジション注文ができなくなります。含み損の補填を口座の残高で補う形になるという感じです。この後さらに状況が悪化し、30%を割り込んだ時点で強制的にロスカットとなります。この例でいきますと、含み損が85万円になった場合、つまり米ドルが6.6円下がった時点でということになります。

6.6円もの値動きは短期的にはそうそうあるわけではありませんが、年間を通した長期的なスパンで見た場合は可能性は十分にあります。また一旦数十万円の含み損を出してしまうと、そこで損切りの決断はなかなか出来ないもので、「そのうち好転するだろう」という希望的観測でさらにナンピンを繰り返し、状況が悪化していくという負けパターンが多いのです。

ここで例にあげた証拠金維持率200%などは非常にリスクの高い運用です。人によってルールはあるでしょうが、私は低くても300%以上を維持するようにしたいと考えています。

また証拠金維持率はじりじり下がっていくパターンばかりでなく、突発的なニュースや機関投資家の施策により一気に数円のの変動も起こります。こういった自体になっても耐えられるだけの資金は常に準備しておく必要があります。

あとは損切りのタイミングを見失わないこと、常に冷静に相場をみることが非常に大事だと、自戒の意味も込めて改めて心に刻んでおきたいと思います。